COLUMN
2021.11.05
身体にやさしい発酵のチカラ
敏感肌にも優しく働きかける「Denovis」は、微生物の働き「発酵」によって誕生しました。
食品でも身近な「発酵」という現象は、私たちの身体にどのような効果をもたらすのでしょうか?食品の発酵研究に携わる、山下先生にお伺いしました。
神戸大学大学院農学研究科 生命機能科学専攻応用生命化学講座 准教授
山下 陽子 先生
管理栄養士の資格を持ち、食による健康維持増進に関わる教育研究に従事 している。専門は、ポリフェノールなどの健康効果を解明する食品の機能 性研究。また、食文化の継承を目的とした食育活動なども実践している。
「発酵」とはどんな現象ですか?
目に見えない微生物からの恵み
私たちに身近な「発酵」は、微生物の働きによって起こります。
同じような微生物の働きとして「腐敗」もありますね。微生物と有機物が結びつくという点において、「腐敗」と「発酵」は実は同じものなんです。
この2つを区別しているのは、人間が食べて害があるかどうかの視点です。
私たちは人にとって有益なものを「発酵」、有害なものを「腐敗」と名付け、古くから暮らしに活かしてきました。
山下先生の発酵研究
私の研究は、発酵食品の大切さを伝えたいという思いからはじまりました。
発酵と結びつきの深いものに日本食がありますが、この文化の大切さを伝えるためにも、科学的に発酵食品が人の身体に何をもたらすかを検証しています。
発酵の一番の利点は、腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善にあります。
腸に届きやすい乳酸菌食品は沢山ありますが、実は、生きた菌だけでなく、死んだ菌を摂取することでも、腸内細菌叢は良好になるんですよ。
発酵食と美容には、どんな結びつきがありますか?
肌には身体の不調が表れますので、肌を美しく保つためには、身体が健やかであることが大切です。
腸内環境は体の第二の脳とも言われる健康機関です。発酵食を通じて、腸内環境をよくする事は、美容にも繋がります。
腸は免疫機能にも関わっており、肌の不調や花粉症などにも影響します。腸を健やかに保つことで、トラブルを防いでくれる効果もあるんです。
やさしい発酵食で、腸を労る
発酵には腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善以外にも、消化をしやすくする効果があり、身体に負担を掛けないというメリットがあります。
炭水化物やタンパク質は発酵の力でアミノ酸に分解され、消化吸収しやすくなるんですよ。
私は毎日、できるだけご飯と味噌汁中心の生活を心がけています。お腹の微生物のことを考えると、自然とご飯食を選ぶようになりました。
もちろん、パンを食べてはいけない訳ではありません。ストレスのない範囲で、身体を気遣うことが大切です。
日本人と発酵
日本人の食は、古来より米を中心にしてきたという歴史があります。そのため、澱粉を消化するのに最適な身体に進化してきました。
欧米の方に比べて、日本人の腸が長いと言われるのはそのためです。
また、稲についた乳酸菌など、植物性の乳酸菌を多く摂取してきた食文化から、植物由来の乳酸菌と相性の良い身体です。
海外は乳製品由来の乳酸菌が多いのですが、それぞれに特性があるので、地域に根ざした乳酸菌を摂ることがおすすめですよ。
これからの季節に生かしたい発酵食はなんですか?
これからのシーズンは酒粕がおすすめです。酒粕は、お酒造りの工程でできる食品です。
お酒はお米から作られますが、製造工程でその澱粉は糖に変わり、その後アルコールに。その残りにはタンパク質などの栄養素が沢山含まれています。
発酵によってタンパク質などがさらにアミノ酸に変わり、肝機能や細胞作りに働きかけるので、酒粕を食べると肌つやが良くなります。
お酒作りでしか出てこない、アミノ酸やペプチドも含まれるんですよ。
日本の発酵食は、塩分が高いものも多いのですが、酒粕は塩分が少ないので取り入れやすいです。
甘酒にして簡単に取り入れるのもおすすめですし、粕汁や粕漬けなど、食材を柔らかく美味しくするアレンジレシピも沢山あります。
私のおすすめは粕汁です。味噌汁には色んな具も加わるので、ミネラルやビタミンなど、水溶性の栄養素も残さずいただくことができます。
秋からは空気が乾燥しやすくなり、肌荒れに悩ませられやすい季節です。発酵食を上手に取り入れ、身体も肌も健やかに保ちましょう。
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